304,高齢者の山岳遭難はこうして・・・ ①

今年もまた高齢者の山岳遭難のニュースが流れていました。
こんな私も遭難したわけではありませんが、この様なパニックを少しだけ経験しました。

それは今年5月に歩いた「塩の道」での出来事で、そのことを画像とその時の時刻を合わせて再現しようと思います。
これについては「塩の道一人旅」で書いた内容と重複しますが、ご了承ください

「アワヤ」と思ったのは、「塩の道一人旅」も後1日で終わるという '10/5/17(月) のことでした。
この日の予定は、宿泊した「平岩」から「大網峠(標高840m)」を越え、「山口」までのコースで、歩行距離としてはそれほど長くない距離なので、朝は遅めの出発でユッタリとした気分の朝でした。

Photo_5
歩行予定コースは地図の赤線ルートです。
8時方向にある「平岩の宿泊場所」がスタート地点で、「大網集落」を目指して右方向に、この区間は舗装車道ですが登りが続く道です。
大網集落からは山道に変わり、2時方向の「大網峠」を越えて北上しなから「山口」に向かうコースです。

8時50分頃・・・昼用の握り飯をもらって宿をスタート、天候は今日も無風快晴です。

Dscn4678 8時56分・・・ここは宿から少し歩いた所にあった家屋ですが、'1995/7 の大水害の傷跡は今でも残っていて、復旧の見通しもないように見えました。

Dscn4680 9時13分・・・大網集落へ向かう車道から眺めた「白馬連峰」で、雲一つない快晴。
そのうえ穏やかな朝です。

Dscn4683 9時23分・・・「大網集落」到着。
(遠景は標高1963mの「雨飾(アマカザリ)山」だと思います 

Dscn4689 9時45分・・・野良仕事をしている人に頼んで「塩蔵(右の木の後ろ)」を眺めたり、「これから大網峠越えをする」ことを話したり・・・

Dscn4690 9時48分・・・いよいよ集落から離れて大網峠に向かいますが、振り返って集落を眺めた風景です。

Dscn4691 9時50分・・・村外れにあるお地蔵さん。
バックは雨飾山

Dscn4692_2 9時52分・・・山道に入ると直ぐにあったのが「石仏群」。
いかにも街道筋といった風情で、幾体もの石仏が安置されています。
ただ 可笑しかったのが、ここは集落の人たちのグランドゴルフ場らしく、コース番号の書いた旗が所々に立っていたことです。(ですから道も平坦で草も刈られていました 右のネットはOBライン?)
Dscn4693これがその旗です。

Dscn4694_2 10時04分・・・ゴルフ場?を過ぎると道は下りになり、このような「石畳」もあって捻挫には要注意です。

Dscn4701 10時15分・・・吊り橋を渡り、その全景をパチリ。
この辺りに来ると山も深く感じ、沢の水音だけが響いていました。

Dscn4702 10時19分・・・吊り橋を渡ると道は登りにかかります。
そこで一息しながら撮った写真ですが、聞こえるのは鳥の鳴き声だけ。

【 ②に続く 】

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305,高齢者の山岳遭難はこうして・・・ ②

Dscn4705_2 10時30分・・・吊り橋を渡って15分も歩くと、山道はこのように変わってしまいます。
歩いた私でさえこの写真を見て、何処に道があるのか定かでありません。

本当にこんな所をボッカ達は牛を牽いて歩いたのだろうか と疑問に思ってしまいます。

Dscn4706 10時39分・・・「牛の水飲み場」と呼ばれている所で、数メートルの滝があります。
ルートを説明すると向こう岸を右上方向に登り、滝上の沢を渡り、沢に沿って下った所で撮ったものです。

Dscn4712 11時12分・・・「菊の花地蔵 道標」です。
この道標を見ると、先程の滝から0.6キロ歩いたわけで、ここから1.2キロ歩くと「屋敷跡」という所に着くことになります。

柱には囓られた様な痕がありますが、後で聞いた話しでは防腐剤として油を塗ったために囓られたもので、これはクマの仕業だそうです。
傷口?は真新しくありませんが、この周辺を歩き回るのでしょう。

Dscn4711 11時12分・・・これが「菊の花地蔵尊」で、遭難したボッカを供養するために置かれたとのことですが、その時期は不明らしい。
地蔵は道標から数メートル離れた大木の根元に苔むして鎮座しています。

Dscn4720 11時31分・・・山道沿いにはこのような花が所々に咲いていました。
花の名前は判りませんが、植物図鑑で見ると「イワカガミ」かも知れません。
背丈の低い花なので屈んで撮りましたが、このような姿勢は腰に支障のある私には苦手なのです(笑)

Dscn4723_2 11時52分・・・先程から気になっていたのですが、山道に入ってからルートに一つも足跡が無いのです。
1,普通は靴底の跡や、滑った跡があると思うのですが、これが全くない無いのです。
2,それと今は5月ですが、夏になって草が生い茂ったら、ここは覆い隠されてしまうのではないでしょうか?
3,更に天候が悪くガスっていたらこの踏み跡のような道が見分けられるでしょうか?
など余計な心配をしてしまいます。

Dscn4724_2 11時55分・・・こんな丸木橋もあります。ルートは左から登ってきて丸木橋を渡りますが、沢幅が狭いですから苦もなく渡れます。
これは渡った所で撮ったものです。

Dscn4725_3 12時01分・・・数分歩くと「V字形」に切り込まれた所がありました。
深さは4~6メートルくらいでしょうか。
ルートはこのV字の左側の上に付いています。

吊り橋からここまで登りの連続で、キャップのツバから汗が滴り落ちてきます。

Photo 12時05分・・・「屋敷跡」に到着。【お断り・・・この場所の写真は撮ってなかったので、或る方のものをお借りしました】
ここの道標には「大網峠まで0.6キロ」と書かれていたので、ここで宿で作ってもらった握り飯をパクツクことにしました。

ここは茶屋があった跡だそうで、画像のように平坦で藪などもなく、私が行った時は焚き火の跡が残っていました。

Dscn4726_2 12時48分・・・「屋敷跡」で20分ほど昼食&休憩をとり、再び歩き出すとルート上に残雪が見えはじめました。
この辺りのルートはV字の底に付いています。

Dscn4727 12時55分・・・とうとうルートは残雪で埋め尽くされてしまいました(これは下から上に向かって撮ったものです)。

この残雪の上を少し歩いたのですが、雪はズボズボで足首や脛くらいまで沈んでしまうし、滑って歩きにくい。

ルートマップではこのV字を登り、やや右に折れると「大網峠」の筈ですが、この雪の上にも人が歩いた跡が全くないのです。 

ルートを間違えたのかな?
「オイ どうする?」
「もう少しこのまま歩いて見ろ
       
   :
「少しくらいなら歩けるが、滑るし、足がもぐってしまうし、こんな具合ではこれから先が大変だぞ」
「それに足元が雪の中じゃぁ 捻挫の心配もあるしなぁ」
   
   :

「他にルートはないのか よく調べろ
「こんな所でマゴマゴするな

こんな自問自答をしながら付近を歩き回り、ルート探しをしました。
ただ頭だけはカァ~となって、徐々にパニック状態になってゆくのが判ります。

今度は昼飯を食べた所に戻り、ルートを確認しながらユックリ歩きましたが、矢張りこの残雪の所に来てしまいます。
横に入るルートが有るかどうかも確認しましたが、無さそうです。
最後の手段として、「小谷村観光協会」にルート確認の電話をしましたが、圏外で通じません。
事前に雪の状態を聞いておけば と反省しましたが、まさかこの時期に雪があるとは考えていませんでしたし、今頃そんなことを言っても仕方がありません。

こんなことを繰り返している内に体力は消耗し、或いはルート探しで奥に入り込み戻れなくなってしまい、時間ばかりが経って暗くなり・・・
その時「遭難」という言葉が頭をよぎりました。
そして「遭難」する時は、こんな風に頭が真っ白になり考えることも出来ず、ムヤミ・ヤタラに右往左往してしまうのだろうか? と考えてしまいました。
   
   :

「仕方がない、引き返そう」
と決めたのが 13時38分   14時38分 の誤りなので訂正します
知らない間にここで1時間半ほど右往左往していたのです。

そして汗だくで登ってきた急な道を、今度は足元を気にしながら下らなくてはなりません。
それでも途中で石を踏み外して転倒、岩角に「弁慶の泣き所」を強打しましたが、「膝のお皿」でなかったのが不幸中の幸いでした。

Photo_3 この画像も或る方からお借りした画像ですが、雪がないとこのような所を登り詰めて行くのでしょう。

このルートを5月中旬に選んだのは
1,天候が安定するだろう
2,梅雨時になると、この周辺には「ウルル」というアブのような羽虫が多くなり、これに刺されるととても痛い、と書かれていたことと、梅雨と暑い夏を避けるためでした。

「大網集落」に戻ると、今朝お邪魔した塩蔵のご夫婦がまだ野良仕事をしていたので、Uターンしてきたことを話すと
「今年は雪解けが遅いからなぁ。それにしても無理をせずよく戻ってきましたね。マァお茶でも飲んでゆきなさい」

下り道で「小谷村観光協会」に電話をし、参考になればということで今日の残雪の様子を連絡しました。

思い返してみると、引き返したことは正解かも知れませんが、一方ではこのV字谷の右上を歩けば「大網峠」に行けたかも、という心残りがあります。
けれどもルートは無い、踏み跡も無い、上に行けば雪はもっと多いかも知れない、これでは大網峠に着けるという保証も無いし・・・

余談ですが、前に書いたように天候が悪く雨やガスっていたらルートが判らなくなり、ここへ来る前に途中でギブアップしていたかも知れません。

若い頃は少し山歩きをしたことがありますが、行った所は有名地(例えば 白馬岳のような)なので、ルートはハッキリしているし人も歩いているので、今回のような経験は初めてでした。

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